ほとんどのフィールドが禁漁になる10月。
この時期になると無性に釣りに行きたくなるのは、私だけではないはずだ。禁漁前にもっと沢山フライフィッシングを楽しんでおけば良いのかもしれないが、「ダメ」と言われると余計にやりたくなるのが人間の本性ではないか、などと考えてしまう。
神流川オフシーズンニジマス釣り場
神流川にオフシーズン釣り場が設定されるようになったのはいつ頃からだっただろうか。今シーズンは10月5日から1月31日まで、上野村ふれあい館裏の約1.5kmの区間に設定された。
この区間は、解禁期間中にはフライマンをはじめとする多くの釣り人がヤマメを狙って竿を振る、全くの自然渓流だ。オフシーズン釣り場のレギュレーションで対象になるのはニジマスだけだが、それでも解禁期間中と変わらぬ自然のフィールドでフライフィッシングをできるのは、やはりうれしい。
ふれあい館裏手の流れには遊歩道がついていて、河原に降りる階段もついている。河原まで車で降りることもできる。非常に入渓が楽なフィールドで有難い。
ニジマスはどこにいる?
早速、区間下流部からドライフライで釣り上がってみるが、どうもニジマスの姿は確認できない。ドライに反応するのは小さなウグイと、禁漁中のヤマメ。本来ならヤマメはうれしいが、今日は「外道」。サイズの良いヤマメにはすでにサビが入っていて、少々痛々しい。急いで丁寧にリリースする。
ニジマスの放流は、オフシーズン釣り場スタートの直前に行われたそうなので、どうやらまだあちこちには散っていないようだ。
吊橋の上流まで釣り上がって行くと、流れ込みからヒラキまで20mくらいのポイントがあった。その流れを覗き込むと、いた!
何匹かのニジマスがメインの筋の脇にできた緩い流れの中で、上流側に向かってユラユラ定位している。下流側のかなり浅い流れに入っているのもいる。
ドライに無関心なニジマス
見えている中で一番大きそうなヤツに狙いを定めてキャスト。フライは上手い具合にそいつの上流50cmほどに着水して流れ始めた。が、反応しない。3回ほど同じことを繰り返すが結果は同じ。ニジマスはピクリとも動かない。
別なニジマスをターゲットにフライを流しても同様だった。フライを替えてもダメ。魚券を購入した際に聞いた言葉が頭をよぎる。「ドライフライはねぇ…。ルアーはよく釣れてるけど…。」。
つい数日前まで養魚場にいたニジマス達。流れのある自然な川には慣れていないのだろう。流下してくる昆虫を捕食する習慣もないはずだ。フライはニジマスの視界に入ったはずだが、水面の流下物には興味がないらしい。
そして30cm超が…
「やはり沈めないとダメか」。沈めるシステムに替える決心をし、ドライで最後の一投のつもりでキャストしたフライも、狙ったニジマスの頭上をあえなく通過した。そして、いよいよドラッグがかかりはじめる直前、ピックアップしようとしたその時、見えていなかったニジマスがフライをひったくった。
ロッドに重みが伝わる。解禁期間中にはめったに感じることのできない、ずしりとした重み。そいつは、数回のローリングの後、下流側に走り始めた。
下流の浅瀬でようやくネットに収まったそいつは、30cmを軽く超えるニジマスだった。この前後くらいがここでのアベレージサイズ。45~50cmくらいの魚も入れているそうだ。
シーズン中には簡単には味わえない力強いファイトを、オフシーズンに楽しむというのものも悪くない。
(掲載日:2013年10月09日)
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