今月のフィールド　～2014年3月　河津川～｜フライフィッシング　データバンク

毎年3月1日にアマゴ釣りが解禁になる河津川。早咲桜として有名な河津桜が満開を迎える時期と重なる年が多い。
河津川の土手は桜並木になっていて、フライフィッシングのポイントとしてもおなじみの峰小橋付近などは、この時期、大勢の観光客で賑わう。

河津桜
桜としてはソメイヨシノがポピュラーだが、河津桜はそれとは違う種で、学名も「カワヅザクラ」となっている。1月下旬から2月上旬に開花が始まり、2月下旬から3月上旬に満開を迎える。ソメイヨシノが白に近い淡い桃色の花なのに対し、河津桜の花はずいぶんと濃い桃色だ。
両岸に咲き誇る鮮やかな桃色の桜並木に囲まれてのフライフィッシングは格別で、毎年この時期にここを訪れるのが恒例というフライフィッシャーも多いだろう。

特別なフィールド河津川
河津川は温暖な伊豆を流れる渓流だ。核心部は河口からほど近く、標高も低い。例年、3月1日の解禁時にはすでにコカゲロウを中心としたハッチがあり、それを狙って盛んにアマゴがライズを繰り返す。解禁当初から他の川の盛期のようなマッチングザハッチの釣りを楽しめるというわけだ。
3月上旬は、一般的な渓流ではまだまだ冬の装い。ドライフライの釣りができたとしても極小のミッジを使った神経質な釣りになることがほとんどだろう。それが、ここ河津川では、桜吹雪の中、#16や#14といったこの時期としては大き目のフライで、釣り上がりすらできてしまうのだ。これは特別なフィールドといえるだろう。

今シーズンの河津川は
さて、今シーズンの河津川だが、解禁日前後に冷たい雨が降って水温が下がってしまった。その影響だろうか、解禁日からしばらくは、ライズが非常に少なかったようだ。フライフィッシングでは、ニンフの沈める釣りでの釣果以外は聞くことができなかった。ここ数年言われていることだが、放流されたアマゴを川鵜がごっそり喰ってしまって、解禁日にはすでに魚影が少なくなっていた、などという声も聞かれる。
いずれにしても、解禁日からしばらくはフライフィッシングには厳しいコンディションとなってしまった。

それでもドライで
今回の取材は、解禁から数日たった平日。2014年3月初旬。平日にもかかわらず、主なポイントにはフライマンを中心に必ず釣り人が入っていた。
気温は伊豆にしては低め。冷え込んだ前夜からの降雨は早朝まで降り続き、川を冷やしてしまっていた。
そんな中でも、正午前くらいからはメイフライのハッチが盛んになってきた。フックサイズにして#18～#16くらい。コカゲロウ系のものが多そうだ。中にはエクステントボディでなければ表現できないような大型サイズのメイフライも飛んでいる。目を凝らして流れを眺めると、かなりの数のメイフライの流下が確認できる。
ところが…。
待てども待てどもライズが起こらない。おびただしい数のメイフライの流下には何事も起こらず、ただひたすら流れを平穏に下っていく。

仕方ないので、ティペットの先に#16のCDCソラックスダンを結び、釣り上がってみることにした。ライズのない水面をひたすら叩きながら上流へ足を進める。が、やはり反応はない。当然と言えば当然だ。本物のメイフライが捕食されることなく流れているのだ。ニセモノのドライフライに渓魚が飛び出してくるはずもない。
あちこち有名ポイントを移動してみても結果は同じ。ハッチはあるのにライズはない。フライを流しても反応はない。
こんな日はニンフを沈めてやれば、また違った結果になるのかも知れない。しかし、それではここに来た意味が薄れてしまう。この時期にドライフライで釣れてこそ河津川なのだ。

フローティングニンフ、クリップルダン、ストーンフライ、アダムス等々、手を変え品を変えフライを流す。プール状の流れ、ヒラキ、流芯、落ち込み、深瀬、ありとあらゆる流れをひたすら叩き上がる。
ようやく反応があったのは午後3時を回ったころ。この日ただ一度だけフライに出た22～23cmほどのアマゴは、#14・明るめのCDCソラックスダンにフッキングした。

（掲載日：2014年03月05日）

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