
どうも今年の関東周辺の渓流では、安定したライズが少ない気がする。例年4月になると、マッチングザハッチの釣りが楽しくなるフィールドが多いが、今年は良い情報が少ない。
今回の取材で最初に入渓した群馬県桐生地区の渡良瀬川もそのひとつだ。
取材は2014年4月上旬。この時期、このフィールドもコカゲロウを中心としたハッチが盛んになり、本格的なフライフィッシングシーズンの到来となる。
この日は午前9時に入渓点に到着した時点で、河原にはメイフライが飛び交い、水面にはその流下も見られた。しかし肝心のヤマメのライズが見つからない。午後12時を過ぎても状況は変わらない。時々散発のライズはあるものの、ヤマメは定位していないようで、安定したライズにならない。

地元の釣り人の話では、今年の渡良瀬川は水温が低いらしい。2月の大雪の影響で上流のダムから放水される水が冷たいのではないか、ということだった。
午後12時30分。渡良瀬川をあきらめ、支流の桐生川に向かうことにした。
桐生川
桐生川でドライフライのフライフィッシングが楽しいのは、梅田湖より上流のエリア。小渓流で流程も長くはないが、漁協によるヤマメの放流量が多いので魚影が濃い。核心部の標高は300m以下と低く、浅い流れが多いので水温が上がりやすい。例年は積雪のない地域なので雪代も入らない。渡良瀬川が不調の日の逃げ場としては、とても有難い存在だ。
ハッチのピーク桐生川の入渓ポイントに到着したのは13時30分ごろ。道路から河原を見下ろすと、おびただしい数のメイフライが飛び交っている。ちょうどハッチがピークに差しかかっているようだ。
間に合った。
川幅も河原も狭い。片岸は急斜面で、もう片岸は護岸。少し窮屈な渓相だ。ハングしている枝が多く、ロングキャストはできない。しかし、流れの規模が小さい桐生川はポイントが絞りやすい。魚影も濃いことから、4月上旬にはもう釣り上がりのブラインドの釣りが成立してしまう。
小さなヤマメたち
ティペットの先に、ハッチに合わせた#18のコカゲロウ系CDCソラックスダンを結び、流れを叩く。釣り上がりながらライズを見つける作戦だ。
ほどなくして流れ込みの筋を流れるフライに飛沫があがる。

小さなヤマメだ。この川ではサイズは望めない。手のひらサイズ、20cmに満たないものが多い。それでも、こんな日にドライフライに反応してくれるのは、やはりうれしい。
期待どおり、その後もヤマメの反応はよかった。
まとまったハッチが終息するまでのしばらくの間、小さなヤマメたちは、いく度となくフライに飛び出してくれた。
(掲載日:2014年04月09日)
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