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今月のフィールド ~2015年12月 猿ヶ石川~(動画あり)|フライフィッシング データバンク

「今月のフィールド」2015年12月は、岩手県の猿ヶ石川をピックアップし、動画とともに紹介

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WILD-1スタッフと歩く飯豊連峰・秘密の源流
禁漁直前の岩手・遠野を釣る
■2015年。禁漁間際。一般渓流での釣り納め
岩手県の遠野。
今年(2015年)の9月。禁漁間際。今シーズンの一般渓流での「釣り納め」に選んだのが、ここ遠野だった。
岩手県・遠野の渓流
遠野でのフライフィッシングは数年ぶりだったのだが、この地には何とも言いようのない「不思議な魅力」があると思っている。

大型魚がバンバン飛び出すわけではない。
もちろん素敵な渓ではあるし渓相も悪くはないが、北東北の渓流としては、特筆すべきほどでもない。
アクセスが良いわけでもない。

それでも何年かに一度くらいの頻度で、何故か無性にここの渓に立ちたくなる。この地を訪れたくなる。
その理由が、未だによくわからない。どうにも「不思議な魅力」としか表現のしようがないのである。

■民話のふるさと・遠野
遠野を流れる猿ヶ石川我々フライマンは別として、一般の方々が遠野と聞いてまず思い浮かべるのは、遠野の民話。昔話だろう。

座敷わらし。カッパ。天狗。雪女。山の神。大蛇。キツネ。

遠野の民話には、思いつく限りの妖怪や神様が登場する。
ここ遠野ではこれらの民話が、今も語り部によって語り継がれているのだという。

おそらく、こうした民話は遠野に限らず、他の地域にも沢山あったはずだ。にもかかわらず遠野の民話がこれほど有名で、今なお語り継がれているのは、民俗学者・柳田国男氏の名著『遠野物語』の影響が大きいようだ。
遠野に伝わる119話の民話が収められたこの『遠野物語』がきっかけとなり、ここ遠野の地が「民話のふるさと」として全国に知れ渡り、今ではそれが重要な観光資源となっているというわけだ。

猿ヶ石川のフライフィッシング少々ロマンに欠ける書き方をしてしまったが、不思議なもので、遠野の渓でフライロッドを振っていると、「冬にここにいたら、雪女に声を掛けられるかもしれないな」とか「向こう岸に天狗が走っていそうだな」とか、妙な妄想をしてしまう。

これが最奥の源流域であれば、こんなことは考えない。クマやマムシ、ヤマビル、鉄砲水など、現実的な脅威に思いがいく。

山奥と人里。遠野の渓は、そのバランスが絶妙なのかもしれない。

■人里と山岳エリアとの境界線
猿ヶ石川C&R区間・上流部今回、釣ったのは、猿ヶ石川のC&R区間とその上流域。この付近は、民家がある里のエリアと、手付かずの自然が残る山岳エリアとの境界線だ。

人里が近いからこそ、雪女や天狗が出る。
最奥の源流域には、クマはいても、きっと天狗はいないと思う。

天狗が向こう岸の上の道を走り抜けても納得してしまうような絶妙なロケーションが、ここ遠野にはある。
この地に特別な思いを抱くフライマンは多いはずだが、このロケーションは、遠野の持つ不思議な魅力の一部分に違いない。

民宿わらべ■芦沢一洋が常宿にした「民宿わらべ」
芦沢一洋といえば、1970年代初頭に著書や雑誌記事を通して日本にアウトドア文化を定着させたことで知られる、我が国のアウトドアカルチャーの先駆者だ。同時に、フライフィッシングも紹介し、日本のフライフィッシャーの草分け的存在としても知られる。
それ以前は、「アウトドア」というジャンルや切り口は存在しなかったわけだから、その存在は偉大といえる。

その芦沢一洋が足しげく通ってフライロッドを振っていたのが、ここ遠野なのだという。芦沢一洋が最後に釣りをしたフィールドも、遠野だと言われている。

「民宿わらべ」は、猿ヶ石川C&R区間の上流側の終点にある宿だが、芦沢一洋が遠野で釣りをする際に常宿にしていたのが、ここなのだという。

この「民宿わらべ」は、座敷わらしがでることでも有名。
すぐ近所に1200年以上の歴史を持つ早池峰神社があるが、この神社の座敷わらしが「民宿わらべ」に遊びに来るのだろう、とも言われている。ここの宿泊客の多くが、座敷わらしに遭遇しているようだ。
座敷わらしの民宿を常宿にした伝説のフライマンの存在。これも遠野の不思議な魅力の一部かもしれない。

猿ヶ石川と薬師岳■早池峰と薬師岳
猿ヶ石川は遠野を流れる川の代表格だが、その水源は薬師岳(1,645m)。薬師岳のすぐ北側には、東北屈指の霊峰・早池峰(1,917m)がある。

遠野から見た場合、手前に薬師岳がそびえ、その奥に早池峰が隠れているという構図になる。そのためだろう。遠野では薬師岳を「前薬師」と呼ぶことがあるそうだ。

早池峰と薬師岳の周辺には、いくつかの銘川が流れている。薬師川。岳川(稗貫川)。御山川などだ。猿ヶ石川も含めてどの川も、東北らしい素晴らしいイワナとヤマメに出会うことが出来る、フライフィッシング向きの渓流。
良い水源からは、素晴らしい川が複数流れているものだが、早池峰と薬師岳の周辺もそういう場所のひとつというわけだ。

■猿ヶ石川源流域への入り口
猿ヶ石川の源流域遠野には魅力的な渓がいくつもあるが、今回の釣行では猿ヶ石川一本に絞って釣りをした。
入渓した区間は、「民宿わらべ」の下流側に設定されたC&R区間と、上流側の源流域への入り口となる区間。土倉川との合流点よりさらに上流側だ。

上流側の区間は深い森の中。人工物はほとんど見当たらない。

天井にも木々の枝が覆いかぶさり、日陰の多い渓相だが、所々に日光が差し込む。その日差しと影のバランスがとても美しい。日のあたる部分では、白っぽい砂底がきらめき、その中に絶妙な間隔で底石が配置されている。
「神々しい」というのは、こういうことなのかもしれない。なんだか山の神に見られているような気がしてくる。そんな風に思わせてしまう雰囲気がここにはある。
猿ヶ石川の上流部

■岸際で走った良型イワナ
さて実はこの区間には先行者がいた。入渓点に到着した際に上流側の流れを覗くと、フライマンが一人、キャストを繰り返しているのが見えた。
猿ヶ石川源流のフライフィッシングこの区間をあきらめるか、迷ったのだが、今回の目的はこの神々しい流れに立つこと。釣果は二の次と自分に言い聞かせて、先行者との距離を空け、下流側に少し歩いてから流れに入った。

案の定、この区間での結果はノーフィッシュ。
岸際の緩く浅く日の当たる流れから、結構なサイズのイワナが走るのを一度目にしたのみ。
休憩していたのだろうか。「こんなに浅い場所に?」という印象のポイントだった。

猿ヶ石川C&R区間でヤマメがヒット■C&R区間ではヤマメが
一方、C&R区間ではヤマメ達がほどほどに遊んでくれた。

ここは適度に川幅があり天井も開けていて、ロッドは振りやすい。
写真で見る印象よりも、流れは太い。透明度が高いせいだろう。浅く見える場所でも、実は結構な水深があったりする。
いかにも大ヤマメが潜んでいそうなポイントが多く、ワクワクさせられる区間だ。
実際、前回この地を訪れた時には、この区間で30cmにわずかに届かないヤマメを手にしている。

今回も期待を胸にロッドを振るが、そう思い通りにはいかないのがフライフィッシング。水面を流れるドライフライに飛び出してくれるヤマメは、25cmどまりだった。
猿ヶ石川のヤマメ
■大ヤマメは?
太陽が山並みに隠れる頃になると、大小のメイフライが渓を飛び交い、ライズも見られるようになったが、大ヤマメはやはり姿を見せない。

いよいよ辺りが薄暗くなってきたとき。かなりのサイズのヤマメが、プールにできた流れのスジに定位しているのを見つけた。ラストチャンス。

ところが目の前には倒木が横たわっている。立ち位置を変えようにも、周囲はかなりの深さと強い水流があり、身動きがとれない。
もう時間がない。覚悟を決め、倒木越しのキャストを決断した。

投じた16番のCDCダンはヤマメにわずかに届かなかった。ミスキャスト。
ところが。ヤマメはくるりと向きを変え、なんと水面のフライに向かって泳ぎ始めたのだ。「喰ってくれ!」

次の瞬間。下流側の強い流れにラインが引っ張られてしまった。同時に、「ぴゅー」という効果音がつきそうな感じで、フライにもドラッグがかかり、水面に張り出した倒木の枝にティペットが絡まった。

ゆっくりと先ほどの定位置に戻っていくヤマメの姿が見えた。
猿ヶ石川のC&R区間でフライキャスティング
(掲載日:2015年12月15日)
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猿ヶ石川(わらべ前)
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