
2月の渓流では、メイフライやカディスのハッチはほとんど見られないが、ミッジだけは盛んにハッチを繰り返していることが多い。どこの渓でも、とはいかないが、ミッジにライズする渓魚が多く、この時期にフライフィッシャーを興奮させてくれるフィールドもいくつかある。
ライズを狙ったミッジのフライフィッシングでは、おおざっぱに3つのケースを想定しておく必要があるだろう。
ひとつは、水面上を流れるミッジアダルト(成虫)が捕食されているケース。
ふたつめが、水面直下のミッジピューパ(さなぎ)が捕食されているケース。
そして、もうひとつが、シャック(抜け殻)を捕食しているケースだ。
この季節に釣り上げたイワナやヤマメのストマックを調べてみると、透明なシャックがたくさん出てくることは少なくない。シャックばかり偏食していて、ミッジの本体(?)をほとんど食べていないこともある。

何故、いかにも栄養価の低そうな透明な「抜け殻」を偏食するのか、どうにも理解しがたいのだが、きっと渓魚にも何かしら事情があるのだろう。いずれにしても、2月のフライフィッシングでは、何本かはシャックのパターンをフライボックスに忍ばせておきたい。
さて、今回取り上げたスティルボーンミッジだが、これは、羽化に失敗して抜け殻(シャック)を引きずったまま流されているユスリカ等を意識したフライだ。と言っても、あまり厳密にそれをイミテートしているわけでもない。イワナやヤマメに見せたいのはシャックの部分で、それ以外のパーツは釣り手の都合(視認性や浮力)で付けているだけと言ってもいいかも知れない。
シャック部分のイミテートには、様々なマテリアルが試されているが、今回のパターンでは、フレックスボディレースにスジ(体節)をつけたものを使っている。

フレックスボディレースを、ライターなどで熱したペンチの先ではさみつけることで、スジを作り出している。絶妙な透明感とスジが、いかにも「抜け殻」らしい質感を演出している。
ハックルは、写真のパターンではグリズリーとブラックを使っているが、省いてしまってシンプルにしても構わない。
CDCウイングのカラーは、やはりナチュラルが一番釣れる気がするが、写真のパターンでは視認性重視で明るめの色を使っている。サイズが小さいだけに視認性はとても気になるところだが、ミッジの釣りはプール状の緩い流れが中心。水面がフラットで静かなことが多いので、実のところ、ナチュラルのCDCで十分見えることが多い。なお、浮力や視認性を高めようとしてCDCの量を多くしてしまうと、シルエットが大きくなってしまい、釣れ具合に大きく影響するので注意したい。
フックサイズは、#18~#26くらい。写真のブラックのパターンでは、カーブドシャンクのフックを使い、ボディ部を小さく作っている。
(掲載日:2014年02月10日)
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