
5月。
雪代の入らない渓流や入っても早めに終息する渓流では、水温の上昇とともにイワナ・ヤマメ・アマゴの活性も上がり、待ちに待った盛期を迎える。多様な水生昆虫のハッチが盛んになり、ドライフライでのフライフィッシングが最も楽しい季節になってくる。
そんな5月のフィールドで目にすることの多いメイフライとして、アカマダラカゲロウがあげられる。
ライズがあるのにフライに出ない
イブニングの時間帯。
おびただしい数のアカマダラカゲロウが飛び交い、それに伴って盛んなライズが始まることがある。フライマンの興奮が頂点に達するひと時だ。
こうしたケースのライズは、CDCダンなどで簡単にとれることも多いのだが、時に、ダンを流してもイマージャーやフローティングニンフ等を流しても反応がないことがある。
安定したライズがあるのに、自分の流したフライは無視される。さきほどの興奮はどこへやら。フライマンにとって、これほど落ち込むシーンはないだろう。
アカマダラカゲロウのスピナーフォール
そうした時のライズは、スピナーフォールを疑ってみる必要がある。
メイフライのスピナー(成虫)は、川面に産卵した後、絶命して流れに落下するが、これをスピナーフォールという。この流下量が多い時、渓魚はそれだけを偏食していることがあるのだ。
カゲロウが乱舞していても、ハッチ(羽化)が起こっているとは限らない。ハッチしていないのだとしたら、ダン(亜成虫)やイマージャー(羽化途中の個体)のフライパターンをいくら流しても、渓魚の反応は薄いわけだ。
年に何度もこうしたシーンに遭遇するものでもないが、スピナーフォールを意識したフライパターンは、この時期、フライボックスに用意しておきたい。
スペントウイングのシルエット
さて、絶命して流されるメイフライのウイングは、開いて水面にぺったり張り付いたスペント状だ。
スピナーフォールを意識したフライにおいても、サイズや色合いと並んで、スペントウイングのシルエットが重要になる。おそらく渓魚はこのシルエットに敏感に反応しているのだと思う。
写真のフライは、ウイングにシマザキフライウイングⅣを使ってタイイングしたパターン。
アカマダラカゲロウなので、テールは3本。ダンでなくスピナーなので長めに。ボディには、オレンジ色に近いブラウンのグースバイオット。ヘッド部分は、赤茶のスレッドで作っている。
フックサイズは#16~20くらい。写真のパターンのフックは、バリバスのIWI M-2000だ。
(掲載日:2014年05月07日)
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