
12月にニジマスを狙える自然渓流でドライフライを使ったフライフィッシングを楽しもうとする場合、ティペットに結ぶのはミッジ系の極小ドライフライがほとんどになる。
この時期にハッチ(羽化)する水生昆虫は、ユスリカをはじめとするミッジ以外にはほとんど見られなくなる。バッタやコオロギなどのテレストリアル(陸生昆虫)も姿を消している。必然的にミッジ系のフライをセレクトすることになるというわけだ。
まずはライズを探す冬や早春にミッジを意識したドライフライでのフライフィッシングをする際にまずしなければならないのは、ライズを見つけること。これはニジマス狙いでもイワナやヤマメ・アマゴを狙う場合でも変らない。
ライズが見つからなければ、ドライフライはあきらめてニンフなどを沈めるフライフィッシングに切り替えてしまうのが得策だ。この時期、ライズのない状況でむやみにドライフライを流しても、良い結果を得られることはほとんどないだろう。

この時期のライズは、プール状のゆったりした流れで日当たりのいい場所を中心に探すことになる。
ハッチの中心となるユスリカは、ゆったり緩い流れの場所で羽化するものが多い。もちろんその後、早い流れのポイントに流されてしまう個体もあるのだろうが、ニジマス達にしても、流れの早い場所を流下する小さなミッジを見つけて喰うことは難しいに違いない。
そうした事情が絡み合って、この時期のライズは日当たりの良い緩い流れの中で起こるのだろう。
シルエットが大きくならないようにさて、首尾よくライズを見つけられた時に頼りになるのが、今回取り上げたモスキート・パラシュート。モスキートとは蚊のこと。蚊をイミテートしたフライパターンだ。

ボディのシマ模様がなんとも妖しげな雰囲気を醸しだしている。
今回のパターンに限らず、ミッジのタイイングで注意すべき点は、シルエットが大きくならないようにすること。ミッジのフライパターンは、小さいということが最も重要なファクターなのだ。
写真のフライのフックサイズは#24。1円玉の上に乗せて撮影している。
今回のフライパターンで特に気をつけなければならないのは、ハックルの大きさだ。コックネックの一番下方の小さなファイバーを使用する。ハックルがフックのシャンクからはみ出してしまうようだと大きすぎ。せっかく小さなフックを使ってもフライのシルエットは大きくなってしまう。
ハックルポストも少量にする
もうひとつシルエットが大きくなってしまう要因に、ハックルポストとして使うエアロドライウイングの量がある。

エアロドライウイングは4本で1束になっているが、今回のパターンではこの1/4束をさらに4分割くらいにし、2つ折りにして取り付けている。
テレストリアル系のフライパターンで使うことの多い#14や#12といった大きめのフライのハックルポストと比べると、ずいぶんと小さな仕上がりになる。視認性に疑問を感じる方もいるかも知れないが、ミッジを使うシーンはフラットな水面の場合がほとんどなので、意外にこれでもよく見えるものだ。
ボディのシマ模様はムースメーンでつくる
このフライパターンの最大の特徴であるシマ模様のボディはムースメーンでつくりだしている。

ムースメーンには白っぽいファイバーと濃い色合いのファイバーが混在しているのだが、それをそれぞれ1本づつ使用する。
この2本のファイバーを隙間が空かないようにしながら同時にフックに巻きつけていくと、シマシマ模様のボディが完成する。
シマ模様を表現できるマテリアルとしては、他にグースバイオットやターキーバイオットもあるが、これらを#24や#26などの小さなフックに巻くのは難易度が高い。その点ムースメーンであれば、小さなフックにも簡単に巻くことができる。これがムースメーンを使う大きな理由だ。
細軸フックで細身ボディに
このフライパターンの場合、フックにも気を使いたい。
細軸のフック、できれば4X Fineの細さのものを使用するとよいだろう。ボディが細身に仕上がり、軽量にもなる。
バリバス2300の#22~26。ティムコTMC112Yの#21~#23といったフックがそれに該当する。
写真のフライはバリバス2300の#24に巻いている。
(掲載日:2014年12月07日)