
多くの渓流が禁漁期のこの時期。フライフィッシングを楽しめるフィールドがないわけではないが、オフシーズンはフライを巻いて過ごそう、というフライマンは少なくないだろう。
そんな方には、今回取り上げたライトケイヒルとマーチブラウンは、巻きためておいて損のないフライパターンではないだろうか。
ライトケイヒルとマーチブラウン。
2本の伝統的なフライパターンの名前を出しているが、実は今回タイイングした2本は、色が違うだけで巻き方は一緒。ボディがクリーム色やジンジャー系の淡い色合いのものがライトケイヒル。
これを全体的に濃い目の茶系にしたものがマーチブラウンということになる。
伝統的パターンの改良形
古くからのトラディショナルなパターンを、日本の渓流フライフィッシングに合わせて若干の改良をしたものが今回のフライパターンだ。
トラディショナルなパターンは、ハックルがフックにぐるりと巻きついているスタンダード型だが、今回のパターンではハックルの下側をカットしている。ソラックスダンと同じ形状だ。
長めのリーダー・ティペットでキャストした時にフライがくるくると回転してしまうのを防ぐために、この改良をしている。
この2種でシーズンを通せる
ドライフライを使ったフライフィッシングに限って言えば、シーズンのほとんどの期間をこの2種類のフライだけで乗り切ってしまうこともできる。
極小のミッジをこのパターンで表現することはさすがに難しいが、#18~#12くらいのサイズを揃えておけば、メイフライ、カディス、テレストリアルまで、このフライで対応させることができる。パイロットフライにもライズ狙いにも使える。実に汎用性の高いフライパターンなのだ。
この2パターンは3月、早春から出番がある。
#18のライトケイヒルはガガンボに。同じく#18のマーチブラウンはストーンフライに対応してくれる。
4月以降になると各種メイフライやカディスに対応する。
コカゲロウならライトケイヒルでもマーチブラウンでも#18~#16。
エルモンヒラタカゲロウやモンカゲロウは#14~#12のライトケイヒル。
オオクママダラカゲロウなら#14~#12のマーチブラウン。
アカマダラカゲロウは#18~#14のマーチブラウン。
カディスにはライトケイヒルでもマーチブラウンでも#18~#16、といった具合だ。
夏に入るとマーチブラウンの各サイズがテレストリアルに対応する。
このフライパターンに限った話ではないが、サイズの選び方が釣果を大きく左右することになる。
ウイングはレモンウッドダック
さて、このフライパターンで最も特徴的な部分はやはりウイングだろう。
伝統的なパターンではレモンウッドダックが使われるが、今回はグレーマラードをレモンウッドダック風にダイド(染色)したイミテートマテリアルを使用している。
ウイングの長さはフックのシャンクと同じくらい。スレッドを「たすきがけ」にして2束に分けている。
テールのマテリアルは、ライトケイヒルのパターンにはウイングと同じグレーマラードを使っている。長さはやはりシャンクと同じくらいにする。
一方、マーチブラウンのパターンのテールにはバーサテールのブラウンを使用している。色合いを茶系にそろえるためだ。
バーサテールはグレーマラードと比べて強度的に強いので、ライトケイヒルのテールもバーサテールにする手はある。その場合は淡いカラーを選ぶと良いだろう。
ハックルは量にも注意
ライトケイヒルのハックルカラーは、クリーム色系やジンジャー系。淡い色合いのものを選ぶ。マーチブラウンのパターンには濃いブラウン系のハックルを使用する。
どちらのパターンもハックルの量が多くなりすぎないよう注意が必要だ。
ストレートシャンクのフックを
フックはストレートシャンクのスタンダードフックを使用する。
写真のパターンはティムコTMC112Yにタイイングしている。
バリバスなら2110。がまかつならR17-3FTあたりを使うとしっくりくるだろう。
(掲載日:2015年01月07日)