数多く存在するニンフ・フライの中でも、ヘアーズイヤーニンフはとりわけ有名なフライパターンだろう。年間を通してフライボックスに常備している方は少なくないはずだ。
渓流のフライフィッシングにおいては、話題にでてくることが多いフライパターンといえる。
今回取り上げたのは、そのヘアーズイヤーニンフに少し手を加えたフライパターン。
メイフライ・ニンフのようでもあり、イマージャーや溺れたダンのようでもあり、カディスピューパのようでもある。
特定の水生昆虫をイミテートしているのでなく、「なんだか虫っぽい」という感じのファジーなフライパターンといえる。
■ニンフとウェットの掛け合わせ
ご覧のように、ニンフパターンと、ソフトハックルのウェットフライを掛け合わせたようなシルエットが特徴的。
ニンフとして使っても、ウェットフライとして使っても、どちらの使い方でも通用するあたりが、なかなか便利だ。
一般的なニンフパターンとして使うなら、インジケーターをつけたルースニングでナチュラルに流す。
ウェットフライとして使うなら、ダウンクロスで、ライン・リーダーにテンションをかけてスイングさせるのが良いだろう。流しきった後にリトリーブしても効果的だ。
どちらの使い方をしても、このフライパターンは期待に応えてくれることが多い。ニンフとウェットの「両刀づかい」ができて、特にライズのないシーンでは重宝するフライパターンというわけだ。
■晩秋から冬にかけてはライズのない日が多くなる
今回のパターンは、オフシーズンでも盛期でも変わりなく活躍してくれる。が、あえてこの時期にこのフライパターンを紹介しているのは、晩秋から冬にかけてのフライフィッシングでは、ライズを見つけられない日が増えてくるからだ。
11月は、冬季釣り場などでニジマスを狙うフライフィッシングが主になるはずだが、寒い日が増えてくるにつれ、べったり底について水面に顔を出さないニジマスが多くなる。そんな時は当然、ドライフライに対する反応も渋い。
そうした日に使い勝手が良いのが、今回のパターンというわけだ。
ナチュラルに流したり、引っ張ってみたり。あの手この手で底のニジマスにアピールすることを、一本のフライでできてしまうのだ。
■タイイング
フックサイズは#10~#12くらいのロングシャンクフックが適当だろう。ウェットフライ的な使い方が多い場合には#8くらいまで大きくしてもいいかもしれない。写真のフライでは、AXISCOのAFB070を使っている。
ソフトハックル的な部分のパーツには、パートリッジを使っている。今回はハックルの下側と上側をカットして、ウイングケースの中から左右両サイドにだけ、パートリッジが出るように仕上げた。上下のパートリッジをカットせず、ウェットフライやテンカラ毛ばりに近い形状に仕上げてもいい。
スタンダードなヘアーズイヤーニンフにはテールをつけることが多いが、今回はテールをつけていない。好みの問題なので、もちろんテールをつけても差し支えない。
(掲載日:2015年11月23日)
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