
5月になると、雪代のない渓流では様々な種の水生昆虫がハッチするようになり、ドライフライのフライフィッシングが盛期に入る。
春先と比べると飛び交うメイフライの種も多くなる。流れに立って、あれこれフライセレクトをするのが楽しい季節だ。
1日中、なにかしらの水生昆虫が水面を流れることが多くなる季節。ライズがなくても、ドライフライで流れを叩いていけば、イワナもヤマメも反応してくれる。
ライズを待ったり、ライズを探して歩き回るフライフィッシングから開放され、釣り上がりのフライフィッシングが楽しめる季節の到来でもある。
■5月に見かける黄色いメイフライ

今回のフライパターンは、その5月のフライフィッシングで目にすることの多い、ホソバマダラカゲロウのイミテート。
黄色いウイングが目立つので、飛び交っている姿も水面上を流れるダンの姿も、我々フライマンの目につきやすいメイフライだ。
この黄色いウイングの存在感は抜群で、飛んでいる姿は実物よりも大きなサイズに思えてしまう。大型メイフライに見えてしまうのだ。
だが実際のサイズはフックサイズにして#16前後。それほど大きなメイフライというわけではない。
5月の渓で黄色い大型メイフライの飛翔を見かけたら、それはホソバマダラカゲロウかもしれない。
■スペント・タイプに仕上げたホソバマダラカゲロウ

このパターンは、そのホソバマダラカゲロウをスペント・パターンとして仕上げたドライフライだ。
エアロドライウイングのインジケータをつけてあるので、ライズ狙いだけでなく釣り上がりにも対応する。
このパターンでなければ釣れないというシーンは滅多にないが、なかなかに使い勝手のよいフライパターンだ。
釣り上がりに使えるといっても、このフライパターンはスペントウイングにCDCを使っているので、荒い水面では濡れて沈みやすい。また、ホソバマダラカゲロウは比較的フラットな水面の流れでハッチするケースが多いということもあるので、フラットな水面を釣るシーンで使うのがよいだろう。
■スペント・ウイング

さて、このフライパターンのタイイングだが、前述のとおり、スペントウイングにはCDCを使用している。ナチュラルカラーのCDCをベースにして、その上にイエローのCDCを重ねている。
実物のホソバマダラカゲロウのウイングも全体が黄色いわけではない。濃いイエローなのは、ウイングの根元部分とウイングのヘリの部分なのだ。
そのイメージに近くなるように、イエローとナチュラルのCDCのバランスをとる。
神経質になりすぎる必要はないが、イエローのCDCが多くなりすぎると、いかにも「ウソっぽい」仕上がりになってしまうので気をつけたい。
■タイイング

実物のホソバマダラカゲロウのボディは黄色ではない。淡い褐色という印象だろうか。
今回のパターンのボディ部分は淡い色合いのターキー・バイオットでタイイングした。体節の感じを際立たせたいので、毛羽立つ面を表にした。
この部分は、もちろんグース・バイオットなどに置き換えても差し支えない。
インジケータはイエローのエアロドライウイング。ライズ専用にタイイングするなら、この部分は不要だ。
テールはバーサテールでつくったが、このフライマテリアルは入手困難になった。同様の仕上がりになる「スピナーテールバード」という製品が発売されているので、そちらを使うとよいだろう。
このパターンでは3本のテールを取り付けている。
フックはスタンダード・シャンクの#16前後。今回は、がまかつ・R17-3FTを使用した。
(掲載日:2017年05月28日)