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名門・コートランドのフライラインで検証|フライフィッシング データバンク

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オフシーズン恒例!WILD-1スタッフの犀川釣行!
創業100年!名門・コートランドのフライライン
1ブランドのフライラインにおける製品グレード別の性能差を、実際のフィールドで実釣しながら試した経験のある方は、おそらくこの記事の読者の中にはいないだろう。フライフィッシング専門店のスタッフですら、それをしたことがある人は少ないのではないだろうか。

今回、名門ブランド・コートランドのフライラインを使って、それを実現する貴重な機会をいただくことができたので、ここでレポートしてみたい。

コートランドのフライライン-1■4グレードのラインを振り比べる
取材ではコートランドのフライライン4種類を実釣比較して検証することができた。いずれも#3のフローティングライン。日本の渓流域でのドライフライを使ったフライフィッシングに適した製品群だ。

試した銘柄は、最も廉価版である「FAIR PLAY」。
ミディアムグレードの「333 CLASSIC(トラウト/オールパーパス)」。
上位モデル「444 SL CLASSIC」。
そして最上位モデル「PRECISION SL( トラウトボス)」。

実釣チェックに参加したのは3名。うち1名は初心者だ。

フィールドには、複雑な流れの瀬も広いプールも落ち込みもあって、日本の渓流によく見られる様々なタイプのポイントを一度に試せる場所を選んだ。

コートランド社■繊細な『組みヒモ』技術を誇る名門ブランド
コートランドというブランドについて、少しおさらいをしておこう。
本拠は米国ニューヨーク州のコートランド。創業は1915年。今年(2015年)創業100周年を迎えた名門ブランドだ。

コートランド社は、アウトドア用ロープやパラシュート(落下傘)用ロープの生産も行っている。使用者の命を預けるこれらのロープには高度な信頼性が要求されるが、コートランド社はその要求に応える製品をつくっているというわけだ。
信頼性の根幹は『組みヒモ』の技術。極細の繊維をより合わせて編みこみ、1本のヒモにする。コートランド社はこの技術に長けているそうだ。
ロープの性能(強度、しなやかさ、伸び率など)は、繊維の本数、より合わせの角度、張力等の違いによって決まる。コートランド社は、これを絶妙に調整し、用途ごとの製品に要求される性能を引き出しているのだという。

アンティークなコートランドのフライライン■フライラインのコア(芯)にも『組みヒモ』を使用
『組みヒモ』技術でつくられたラインはブレイデットラインと呼ばれるが、コートランドのフライラインのコア(芯)には、今もブレイデットラインが用いられている。
以前は他メーカーのフライラインのコアにもブレイデットラインが使われていたが、今はモノフィラメント(編みこみでない一本のヒモ)が主流。ブレイデットは生産に手間がかかりコストが高くなるからだ。

編みこまれたヒモであるブレイデットラインは、しなやかに仕上がる。巻きグセもつきにくい。コートランド・フライラインの特徴である「しなやかさ」は、長年培った技術の絶妙なノウハウにより生み出されているのだ。

レオン・チャンドラー■レオン・チャンドラー氏の存在
コートランドを語る上で、レオン・チャンドラー氏の存在に触れないわけにはいかない。
世界中を回って華麗なフライキャスティングを披露しながらフライフィッシングの魅力を伝え歩いた伝説のフライフィッシャーである。フライフィッシング黎明期だった頃の日本も訪れ、忍野で日本初のインストラクションを行ったそうで、そこで氏からキャスティングの手ほどきを受けた人の中には、後に有名フライマンとして活躍している人物もいるという。
このレオン・チャンドラー氏、実はコートランド社の当時の副社長で、コートランドの「顔」のような存在であったのだそうだ。

フライラインの規格策定には、このレオン・チャンドラー氏が深く関わったそうで、ラインとロッドの番手の組み合わせは、その際に標準化されたものだそうだ。

コートランドのフライラインをキャスト■ループが変わった!
さて、いよいよ実釣検証開始。
キャストしてみて、まず3人が口を揃えた感想がスベリの良さ。この時振っていたラインは、ミディアムグレードの「333」と、その上位モデル「444」だ。
普段使っているラインはガイドを通過する際「シュルシュル」という感覚なのに対し、コートランドは「スーッ」という感覚。摩擦抵抗が少ない感じ。「333」でも「444」でもこの感触を感じることができた。

驚いたのは、初心者のキャスト。この時初心者は「333」を振っていたのだが、自分のラインをキャストしたときと明らかに違う、美しいループをつくっていたのだ。聞けば、普段使っているラインはずいぶんと安物らしい。おそらく摩擦抵抗の少なさやラインのしなやかさが、キャスティングの質を変化させているのだろう。ラインのグレードがループまで変えてしまうということを、この時初めて知った。

初心者以外の2名が普段使用しているラインは、安物というわけではないが、少々使い込んでいる。スベリの良さを感じた原因は、もしかしたらそこにあったのかも知れない。

コートランドのフライラインをキャスト-2■最も差が大きかったのは?
体感上、最も大きかったのは、廉価製品の「FAIR PLAY」とミディアムグレードの「333」との差。価格が違うだけのことはある。

「333」の後に「FAIR PLAY」を振ると、どうも頼りなさを感じる。短い距離のキャストでは気にならないが、ロングキャストをするとラインが真っ直ぐ伸びずにヨレてしまう印象だ。一方で「333」はスキッとラインが伸びていく感覚を感じられる。「直進性の差」とでも表現すればよいだろうか、この違いは初心者でも確実に体感できるはずだ。
コーティングによる摩擦抵抗の違いなのか、しなやかさの違いが差を生むのか、要因はわからないが、明らかな性能差を体感することができた。

■最上位モデルの実力
今回の取材では、コートランド・フライラインの最上位モデル「PRECISION SL( トラウトボス)」も試すことができた。このモデルは近々ニューモデルが登場するそうだが、今回はその入荷前だったので、従来モデルでの実釣。
PRECISION SL
このモデルでまず実感したのは、「333」「444」よりさらに上をいくスベリの良さ。この差は、釣行前にラインをリールに巻く段階ですでに体感できた。下位モデルとはコーティングが違うのだそうだ。

実釣段階で印象に残ったのは、メンディングのしやすさだ。ある程度ラインを出した際のメンディングのしやすさは、下位モデルとはやはり差がでる。要因はコーティングとしなやかさの違いだろう。「PRECISION SL」には下位モデルよりさらに優れたコア(芯)が採用されているそうだが、しなやかさの違いはそこから生まれてきていると考えられる。

333と444のティップ■中間モデルには体感上の差は感じられなかったが
今回の取材では「333」と「444」との間に体感上の明らかな差は感じることができなかった。だが、おそらく両製品の性能差は使い込むうちに次第に出てくるのだろう。
「333」と「444」の機能面での大きな違いはティップ部(ラインの先端)に見出せる。「444」のティップはループ。「333」にはループがない。
ティップのループは、リーダーの交換作業を簡便にする役割を持つが、それ以上に重要なのはライン先端をカットせずに済むという点だ。この点が使い込むうちに性能差が大きくなる要因となるはずだ。
というのも、フライラインの設計は実にデリケートで、ライン先端を5cmもカットしてしまうと、想定の性能が維持できなくなってしまうのだそうだ。
リーダーの交換頻度の多い方であれば、5cm程度のカットはアッという間ではないだろうか。

またメーカースペックによれば、「444」は、低温時でもしなやかさに変化の少ないマテリアル(素材)を採用しているとされている。今回の取材はおだやかで暖かな日だったので実感することはなかったが、寒い日や低水温の日には、しなやかさの面で「333」と「444」の間でも差がでてきそうだ。

考えてみればフライフィッシングという釣りのアイデンティティーは、フライラインにあると言っても過言ではないかもしれない。ロッドやリールや毛ばりは、他の釣法でも使われるが、フライラインに関しては、フライフィッシング以外で使われることはないのだ。
フライラインに強い関心を持っていないという方は少なくないと思うが、そういう方もこの機会に少しフライラインにもこだわってみてはいかがだろうか。
(掲載日:2015年04月30日)
コートランドのフライライン
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