全国に18店舗のアウトドアショップを展開するWILD-1(ワイルドワン)。当サイト読者の中には「いきつけ」のようにしている方も多いだろう。
WILD-1はフライフィッシング用品の品揃えが充実していることはご存知のとおりだが、実はスタッフには無類のフライフィッシング好きも少なくない。
今回そのスタッフのキャンプ釣行を同行取材させてもらうことができた。
取材させていただいたのは、WILD-1郡山店・フィッシング部門チーフの曳地さん。東北の渓流を釣り歩くことが多いというベテランフライフィッシャーだ。
■プライベートリバーのように男鹿川が流れるキャンプ場!
釣行先は栃木県・男鹿川の源流。
男鹿川といえば、下流域の川治温泉前C&R区間でのニジマス狙いや、上流域の三依地区でのヤマメ・イワナ狙いの渓流釣りが有名だが、実は源流域のイワナを狙うフライフィッシングも楽しい。
今回は、WILD-1が運営するキャンプ場「ワイルドフィールズおじか」にテントを設営した。
贅沢な自然の森に囲まれた広々とした敷地。池にはニジマスが泳いでいる。グループで利用するとコストパフォーマンスのよいコテージも充実している。
このワイルドフィールズおじかの脇を、まるでプライベートリバーのように男鹿川の源流が流れているのだ。
重い荷物を担いで源流域まで登る必要はない。
車から荷物を出してここにテントやタープをはる。必要なセッティングを済ませれば、入渓点はすぐそこ。まさに目の前なのだ。「源流キャンプ釣行」というフレーズから感じる過酷?な印象とは無縁。とても気軽にキャンプフィッシングを満喫できるところが、ワイルドフィールズおじかの魅力だ。
遊漁券もここで購入できる。
危険も少なく手軽に男鹿川の源流キャンプ釣行を楽しむことができるのは、ここ「ワイルドフィールズおじか」を利用する者にだけ許された特権といえる。
■渇水で反応は渋い
さて、当日の男鹿川源流部は降雨にもかかわらず、まさかの大渇水。流れのほとんどの箇所では足首ほどの水深しかない。
ベテランフライマン・曳地さんの表情もこれでは冴えない。「キビシイ釣りになりますね」とぼやく。
実際、釣り始めてみると予想どおり反応は渋い。比較的水深のある流れの中には魚影を確認できることもあったが、底の魚影は水面を流れるドライフライには無関心のようだった。
ところで曳地さん、時折フライにフロータント処理を施しているが、どうも見たことのないフロータントを使っている。
「最近、WILD-1で扱うようになった製品です」ということだ。KEYSTというブランドの「ハイパードライパウダー」。このフロータント、使用法が独特。フタについたフロータントを指につけ、それを必要部分にのみ摺り込むのだそうだ。
KEYSTの製品は実は筆者も使っているものがいくつかある。こだわりと独創的な発想で開発された製品群は、どれも独特の機能・性能を持っているのだが、このフロータントもなかなか良さそうだ。
■それでもイワナを手にする
さて、この渋い状況の中でも曳地さんはしっかりと数匹のイワナをキャッチしていた。サイズは小型ばかりだったが、ここ男鹿川のネイティブなイワナだ。
さすがはベテラン。様々なテクニックはもちろんだが、特に目を引いたのは、遡行の速さ。短い時間の実釣だったのだが、あっという間に長い距離を釣り上がってしまう。ここぞというポイントではしつこく何度もフライを流すが、そうでない箇所は歩きながら1回流すだけ。潔い。
出来るだけ沢山の有望ポイントにフライを流す。多くの渓魚を手にするために当たり前のことだが、これは意外に実践できないものだ。
実は1度だけ尺前後のイワナがヒットした。しかし残念なことにこれは、流れの中の藻にティペットが引っかかってしまい、バラしてしまった。長く続いた渇水のおかげで、この日は藻が多かったのだ。
■キャンプの醍醐味。焚き火とアウトドアクッキング
さて、キャンプ場に戻ると曳地さんは、まず焚き火を始めた。キャンプでの焚き火は、どういうわけかワクワクする。不思議な魅力が焚き火にはある。ちなみに薪はワイルドフィールズおじかの管理棟で格安で販売されていた。
ここで注目したいのは、今回使用したタープ。
【タープ】
ムササビウイング13ft.TC“焚き火”version(tent-Mark DESIGNS)
【テント】
rolly-polly 1.8(tent-Mark DESIGNS)
【焚き火台】
ステンレスマルチグリル(WILD-1)
一般的にタープのそばで焚き火はおススメできない。火の粉でタープに穴をあけてしまったり、燃やしてしまうこともある。
ところがこのタープはなんと燃えにくい素材でつくられている。この日は時折雨がぱらついていたが、こんな日は焚き火のそばに張れるこのタープは特にありがたい。
アウトドアではクッキングの時間も楽しみのひとつだが、ここでは曳地さんが準備するバーナーのシステムに目がいく。
「店舗でもイチオシのバーナーですよ」と曳地さん。JETBOIL(ジェットボイル)のMiniMo(ミニモ)。
クッカーとバーナーが一体になったシステムだ。
全てのパーツが本体内にコンパクトに収納できる。強火からトロ火まで火力を微妙に調整できるところも魅力という。なんとマイナス6度の低温でも火力が安定するスグレモノ。デザインもいい。
調理したのは、トマトソースのパスタとチーズクリームリゾット。
【バーナー】
MiniMo(JETBOIL)
実際アウトドアクッキングはとても楽しいのだが、なにしろ今回は釣りがメインイベント。
そんなこともあって、この日はお手軽に短時間で調理できるメニューのセレクトとなった。
パスタはもちろん茹でるだけなのだが、MiniMoは口径が広いつくりなので、調理は楽。トマトソースは紙パックに入った既製品。これに焚き火でソテーしたチキンとカットしたトマトを添えて完成。
チーズクリームリゾットはフリーズドライの製品。水を加えて加熱するだけ。
これにカットしたトマトを添え粉チーズを振りかければ完成。実にお手軽。
このようなフリーズドライ食品は、WILD-1の店舗でも様々な種類を扱っているそうだ。自然に囲まれて本格的な味を楽しめるとは、いい時代になったものだ。
頂いてみると、これが実に旨い。豊かな自然の中ということもあるのだろう。
最近の釣行での昼食は、移動の車中でアンパンをかじるだけ、というのが当たり前になりつつあっただけに、この取材での昼食はとても贅沢なものに感じてしまった。
■再び渓に駆け下りる
昼食を終えると「さあ後半戦、いきましょう」と曳地さん。手早くフライフィッシングの身支度を整えると、渓沿いの林道を歩き始めた。
先ほど釣らなかった区間。曳地さんはあっという間に林道を駆け下りて流れに立つと、早速ロッドを振り始めた。曳地さん、根っからのフライフィッシング好きのようである。
(掲載日:2015年07月29日)
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【ワイルドフィールズおじか】
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