
例年、8月に入ると渓流域では水量が寂しくなることが多い。もちろんフィールドによって程度の差はあるが、その傾向は禁漁期まで続く。
雪解け水も流れ切った。梅雨も終わった。そうした要因から、渓流に流れる水が少なくなってくるわけだ。
水が少なくなると、イワナもヤマメも警戒心が強くなって神経質になる。特にドライフライのフライフィッシングには難易度の高い状況といえる。
水位が下がればカワウなどの鳥に狙われるリスクは格段に上がるだろうから、渓魚が神経質になるのは当然だ。こちらは遊びだが、渓魚にしてみれば水面に顔を出すことは命がけなのだ。
■神経質な渓魚を相手にするテレストリアル・パターン

さて今回のフライパターンは、そんな神経質な夏の渓魚を相手にするフライフィッシングで活躍してくれるテレストリアル・フライ。
#16~#14くらいのフックサイズにタイイングして、スッキリ小型に仕上げるテレストリアル・パターンだ。
形状はCDCソラックス・ダンと同じ。一般的なCDCソラックス・ダンはメイフライ(カゲロウ)を意識したドライフライだが、今回のパターンはそれをテレストリアル(陸生昆虫)風にアレンジしたものだ。
このパターンの利点は、軽量に仕上がることとシルエットがすっきりしていることだろう。
渇水気味の流れの中で神経質になっているイワナやヤマメは、フライが着水しただけで驚いて走ってしまうことがある。

そんな時は、軽量で小型のフライを「ふわり」と水面に落としたい。ボリューム感のある大きめなフライでは、どうしても着水が派手になる。
そんなシーンでティペットに結びたいのが、今回のフライパターンというわけだ。
■赤い縞模様
このフライパターンのボディ部分は、ピーコック・アイでつくっている。今回は赤にダイド(染色)されたピーコックを使用した。
ピーコック・アイとは、クジャクの羽の鮮やかな模様の部分。
これでフライのボディをタイイングすると、なんとも妖艶な縞模様を演出することができる。赤に染められたピーコック・アイの場合は、縞模様も赤になる。
このフライパターンは、全体のシルエットもスマートに仕上げたいのだが、ピーコック・アイを使うことで、スマートなボディラインのテレストリアル・フライをつくることができる。
■タイイング
タイイングについて特に奇抜なことはしていない。一般的なCDCソラックス・ダンのタイイングとほぼ同じだ。
ウイングはCDC。
カラーはナチュラルが最も渓魚の反応がよいが、ポイントによっては視認性がよくない。視認性のよいカラーにすると、渓魚の反応はやや渋くなる。
ハックルはコックネックの黒。濃い茶系のものでも差し支えない。
一般的なCDCソラックスダン同様、はらりと2回転ほど巻く。びっしり巻いてはいけない。
フックはスタンダード・フックを使う。軽量にしたいので、細軸のものを選ぶのがよいだろう。フックサイズは#16~#14。
(掲載日:2017年08月26日)